かつて先輩・北別府投手の登板試合で試合中盤に自らの「痛恨のエラー」で同点に追いつかれてしまい、後に涙を流しながら決勝2ランホームランを打ってカープが勝利したものの・・・「北別府さんに申し訳ない」とインタビューを拒否した前田選手のエピソードはあまりにも有名です。また、98年には横浜・鈴木尚典選手との熾烈な首位打者争いで迎えた横浜との最終戦に、「(タイトル争いのため)どうせ敬遠される」と試合出場をボイコットしたのも・・・強烈なプロ意識がゆえの「ファンにみっともないモノを見せたくない」からだったとか。
「誰もが『前田だ』という試合だったら上がるけど、『前田かな』というのなら上がらない。」
「たとえサヨナラ打を打っても、そこまでの雰囲気を作ったのは投手だから投手が上がるべき。」
前身「Oranje徒然草」で日本ハムの小笠原選手についても書きましたが、この前田選手についても同じ「にほい」を感じます。今シーズンは目標の「全試合出場」を果たしたみたいですが、この前田選手がもし「右足アキレス腱切断」を経験していなかったのなら・・・より「神の道」に近い目標を設定していたはずです。「打撃の神様」に”間違い無く”近づいた存在・・・それが前田選手のかつての姿。ご自身は「今はケガしないように」とおっしゃってはいますが・・・いや、今でもかつての”天才肌”は健在だと思います。プロ野球とはすっかり「距離」を置いて久しい自分であり、気になるチームも無くなりましたが(かろうじて横浜が気になるくらい)、気になる選手は居ます。その中の1人がこの前田選手。まんま「SAMURAI-DO(侍道)」です、前田選手って!
そこに来て、フットボール界にも「オットコ前」な選手が居ます。チェルシー所属のイングランド代表、フランク・ランパードです。しかし彼の「オットコ前」っぷりは、前述の前田選手とはある意味”対照的”かもしれません、身体的に。というのも、彼が打ち立てた大記録は「プレミアリーグ160試合連続出場」というものであって・・・ゴールキーパーじゃないフィールドプレイヤーが新記録を作ると言うのも「前代未聞」の偉業でしょう。
「たとえロナウジーニョを交換条件に出されても、ランパードは手放せない」
チェルシーの”智将”モウリーニョ監督は彼のこの「鉄人記録」に・・・この上ない賛辞を送りました。野球だったら、ケガさえしなければ連続出場記録というのは更新可能かもしれません。しかし、サッカーの場合は・・・更新するにはイエローカード累積&レッドカードによる「出場停止」というサスペンションも避けなければなりません。実はこのランパード、イエロー累積による出場停止の「ピンチ」は1度訪れてはいます。でも、この処分をFAカップでの出場停止で”消化”したために、プレミアでの連続出場がストップする事は無かったそうです。
「ランパードはフェアな選手だ。かつフィジカル的にも技術的にも優れており、戦術理解度も高い。さらにクレバーである。ロナウジーニョ、カカ、シェフチェンコと世界には素晴らしい選手が居るが、私はランパードが一番好きだ。」
モウリーニョ監督、もう”ベタ惚れ”です(笑) ただ、ランパードに”ベタ惚れ”なのは彼だけではありませんね。チェルシーのラニエリ前監督もそうです。だからこそ前述の大記録が生まれたのでしょう。ココにランパードの「(監督に)重用される選手」としても”天賦の才”を持つのが窺えるのです。カードゲームの「大富豪」で言う「JOKER」ですね。すなわち「手持ちのカードとしてこれ以上のモノはない」・・・モウリーニョ監督は、他の世界的な選手を引き合いに出してまでも「自分は『JOKER』を持っている。最高の”切り札”を持っている!」のをアピールしたくてウズウズしていたのでしょう。そんな気持ちが上述のコメントからもにじみ出ています。
「求道者」・・・”神の道”を求めて修行すること。(岩波・国語辞典)
物理的に「凄い」ロナウジーニョがバロンドールを獲ったならば、選手的に「凄い」ランパードも、いずれその功績が何らかのタイトルで称えられるはず・・・。でも、アカデミー賞で言う「助演男優賞」的な賞ならば称えるのには不十分なものかもしれません。ロナウジーニョのテクニックが「神」に近づくのなら、走り続けるランパードも・・・試合に出続ける事で、また別ルートの「神の道」に近づいているのかもしれません。どれだけ「神の道」に近づいたらバロンドールやFIFA最優秀選手が獲れるのか分かりませんが、タイトル云々とは関係無く・・・やけに最近その姿が「オットコ前」に映って仕方がないんです、ランパードは。そう言えばモウリーニョ監督・・・ランパードを賛辞するのに「ルックスも良し」を付け忘れているのでは?これも何気にデカいかも(笑)
「JOKER」で言うなら、オランダ代表にもフィリップ・コクーという選手が居ます。ゴールキーパー以外ならどのポジションでもこなしてしまう超ユーティリティ・プレイヤー。現在ではオランダ代表の中盤を巧みにコントロールするベテラン選手。時にキャプテンマークを付ける事もある中心選手であります。昨シーズンのCLでの活躍を挙げるまでも無く、彼のオランダ代表およびクラブチームへの貢献度は計り知れません。それはゴール数や無失点記録という具体的な数字では表せませんが、「コクーが居るから攻撃に専念出来る」、「コクーが居るから守備の負担が減る」・・・複数のポジションがこなせるからこそ、彼の見せる攻守の舵取り「バランサー」ぶりには目を見張るものがあります。「周囲の選手の才能をも引き出す能力」とも言えるでしょうか。
「オランダ代表で抜けたら困る選手・・・コクーかな?」
こういうHPをやってる以上、オランダ代表について他の方々と話す機会も多いのですが・・・そんな時決まってオランダ代表について質問する事があります。1つは「2002年W杯予選ポルトガル戦(A)で、アウェイながらポルトガル相手に0-2で後半30分まではリードしていたオランダ。しかし3点目を獲りにいこうと前がかりになった結果、最終的には2-2のドローに追いつかれました。さて、このファン・ハール采配をどう思いましたか?」という質問であり、これに対して「そんなオランダだから好きになったんです」なんて答えが返ってきた時にはもう大変です(笑) もう1つは「オランダ代表で『この選手だけは外せない』という選手は?」という質問であり、これに対して↑のような答えが返ってきたら・・・これも大変です。思えば、”個性的な面々”ですし(爆)
前者の質問に関しては「あそこは引いて守らなきゃ」とかさまざまなご意見を頂きました。まあ、最近では似た試合展開となったEURO2004・グループDのチェコ戦との”比較”になりがちなのですが・・・。ただ、後者の質問に関しては「コクー」という答えが・・・HPを作り始めた5年前も現在も”圧倒的に”多いのです。もちろん、聞く方々によって好きな選手は十人十色なんです。ベルカンプにクライフェルトにオーフェルマルスに・・・まぁ、層々たる顔ぶれでございますよ。でも、不思議なことに「好きな選手」と「手放せない選手」となるとオランダ代表に関してはそれが必ずしも一致しないみたいで。勝手な「ウチ調べ」で恐れ多いんですが、コクーがオランダ代表のファンの方々にいかに支持されているかの”裏返し”と言えるのかも。だから、ランパードに”ベタ惚れ”なモウリーニョ監督の心情は、コクーに”ベタ惚れ”なオランダ代表ファンの方々は理解出来るのでは?と思います。自分は、彼の気持ちがなんとなく分かります。でも彼は「好き=手放せない」みたいですけど(笑)
大事な大事なプレイヤー、フィリップ・コクーについては【#35】「褒め足りない選手」の記事もご覧下さい。
オランダ代表にもランパードが欲しいなぁ・・・でも、ランパードはれっきとしたイングランド代表。彼の存在もまた、自分がイングランド代表を勝手に「EURO2008の優勝候補筆頭」に挙げる根拠の1つでもあります。ただ、オランダ代表の中にもこのランパードに近づける可能性を持つ選手が居ます。その選手は・・・ファン・デル・ファールトでもスネイデルでもマドゥロでも無く、ニヘル・デ・ヨングです。先のCLスパルタ・プラハ戦(H)の2ゴールは・・・穿って言えば前線に絡むランパードのプレイスタイルを重ね合わせたようなパフォーマンスでした。下がり目のポジションながら攻撃的センスに溢れているのも、デ・ヨングとランパードはカブります。
マンチェスター・Uへの移籍のウワサもあるデ・ヨングですが、もし実現されるのならば(アヤックスファンとしては心苦しい面もありますが)今がチャンスかもしれません。デ・ヨングとしては・・・マンUに移籍して、プレミアでチェルシーと対峙して、「神の道」に近づくランパードのプレイを肌身に感じるのには「絶好のチャンス」到来かも?チェルシーに「いい手本」があるうちに、デ・ヨングは”吸収”できる環境に身を置くのも「アリ」なのではと考えます。アヤックスでそれを”吸収”するにはなんとも不十分な環境である(いっその事、今シーズンのCL決勝トーナメントでチェルシーと対戦すれば・・・)のが現実なので。そして大きくなって新たな「JOKER」としてオランダ代表に戻ってもらえれば、ファン・バステン監督としても心強いのではないでしょうか?(爆)
前田選手は「(お立ち台に上る)そういう機会が増えればいい」と考え方を改めたそうです。きっかけは、ファン投票で選出された今年のオールスター第2戦でのMVP獲得&甲子園球場での「前田コール」、これが1人の「求道者」の信念を”動かす”結果になりました。思えばランパードは昨年もバロンドールをはじめとするビッグタイトルには縁が無かったものの、”ファンが選ぶ”「2004年イングランド最優秀選手」というタイトルは獲りました。たとえ専門家がランパードに賞を与えずとも、ファンの投票によるこの賞がランパードの・・・上述の「プレミアリーグ160試合連続出場」という金字塔を打ち立てる何よりの「原動力」になったのかも。そんな前田選手もランパードもそしてコクーも・・・自身のタイトルより「チームの優勝(Aクラス)」をプライオリティに置くのは何とも”大人”です。あれだけの才能を持っているんだから、もっと「貪欲」になっても大丈夫だと思うんですけど。別にデ・ヨングに「フットボール・ジャンキーになって!」とかは言いません。とても言えません。ただ、これからデ・ヨングもより”大人”になれば・・・、ちょっとした物のはずみで「神の道」が見えてきたりして(爆)
テーマ:UEFA チャンピオンズリーグ - ジャンル:スポーツ
