決勝戦の野洲のフットボール・スタイルに「アフリカ」を見た・・・”偏愛的”な私見・詳細はブログ後半にて(爆)
第84回高校サッカー選手権大会・準決勝第2試合「野洲vs多々良学園」、前半は初の国立でものびのびとプレーする野洲と、初の国立でやや雰囲気に飲まれる多々良学園という様相で序盤から野洲の攻撃サッカーが火を噴きました。実は野洲の山本監督は前の晩に、自分の選手たちに「お前たちは『何のために国立に来たのか』という事を一晩考えろ!」という宿題を出したそうです。その答えは「国立には勝ちに来た!野洲のプライド、攻撃するために来たんだ。」というもので、山本監督はこう言って選手をピッチに送り出しました。
「ここからが本当のサッカーだ!」
全国4000校を超える参加校の中で、国立のピッチを踏めるのはわずかに4校のみ。すなわち、多くの高校は優勝はもとより、国立の舞台に立つ事を目標にして3年間・・・高校サッカー生活を送るものと思われます。国立に辿り付いた事でモチベーションの上昇が止まる高校も多く見受けられる中で、野洲の場合は違いました。彼らの序盤のプレーを見て、国立に立つ事がまず「スタートライン」だったのだと痛烈に感じました。準々決勝の大阪朝鮮戦で相手の強烈なプレスに自分たちのサッカーが出来なかった「反動」もあったのでしょう。この試合の野洲のイレブンは思い思いに高い”個人技”を見せ付けました。ヒールパス使いすぎ??(笑)
この試合の実況でもチラっと言及された滋賀のセゾンFC、今の野洲高校の根幹を作ったクラブチームです。ワールドユースのオランダU-20代表やナイジェリアU-20代表に目を奪われたこのクラブの岩谷監督(兼クラブ代表)。もはや指導方針は言うまでも無いでしょう。名門・市立船橋高に選手を送り出すヴィヴァイオ船橋というクラブチームも、野洲高校の試合を見るためにはるばる千葉から滋賀へと遠征した観戦記「お金と時間をかけても観戦したいと思う高校生の試合!」と野洲のサッカーを絶賛しており・・・多方面にかなりの衝撃を与えているようです。野洲サッカーの詳細についてはWetmondayさんのブログ記事をご参照下さい。決勝戦をふくめ、第84回高校サッカー選手権大会のレビューはドロコさんのブログ記事をご覧下さい。
こういったテクニックで魅せるチームというのはたいてい進むとしても準決勝止まりで、図らずも「大会の盛り上げ役」で優勝に直接絡めずに終わってしまう・・・とかく「PK戦」なんぞに持ち込まれて負けさせられる・・・というのがトーナメントのおける「オチ」だったりもして。そういうのは90年代のオランダ代表で「これでもか!」と見せ付けられたモノだったのですが(爆) でもこの日の野洲はディフェンスも攻撃陣に負けず劣らず奮起していました。攻撃陣ばかりがクローズアップされる野洲において、ゴールキーパーを含めた守備陣の活躍はこの日の勝利の最大の要因になったと思います。攻撃陣は1点しか獲れなかったものの、エースストライカーの青木くんをはじめ乾くん、楠神くんの両サイドもキレてましたし・・・スーパーサブの瀧川くんも途中交代ながらゴールを決めました。そのプレーを後方から眺めつつピンチの局面ではDF陣が踏ん張る、攻撃と守備・・・お互いがお互いを高める「相乗効果」が知らぬ間に生まれていたのでは?と思いました。そしてまた、攻撃力溢れる相手である多々良学園の存在もまた・・・野洲DF陣の奮起を促す「カンフル剤」となったのでしょう。
「多々良学園がホントに良いチームで、お互いにサッカーが出来た試合だったと思うんですね・・・
そういう意味で相手に恵まれて今日の結果があったと思いますし・・・。次は連覇を狙う鹿実と、
こんな素晴らしい場で戦える事をホントに誇りに思って、ベストを尽くしたいと思います!」
山本監督自らも相手の多々良学園に敬意を表しました。この日の野洲における多々良学園は、(ユニフォームの色は逆なんですけど(笑))オランダ代表に対するチェコ代表のように「己の力を引き出してくれる素晴らしい相手の存在」だと感じまして。それを山本監督がインタビューで答えたのが妙に嬉しかったり(爆) でも、監督以上に選手の方が”強気”?と思ったのがその後のインタビュー。まずは決勝ゴールを決めた瀧川くん。
「相手は名門・鹿実なんで・・・まぁ、一泡吹かせたいです。」
頼もしい意気込みですね。ぜひW杯で「グループC」という激戦区に臨むオランダ代表も彼の意気込みを見習って・・・”名門”に「一泡吹かせて」欲しいものです(爆) またカワイイ顔してエースの青木くんも言う事がスゴイ。ここまで予選を含めて無失点記録を続けて”完全優勝”をも狙う鹿実相手に「ゴール宣言」ですよ。確かに準決勝はことごとくゴールに嫌われた青木くんなだけに、こう言われると決勝戦での活躍を期待しますね。
「決勝で点を獲るんで、みなさん応援よろしくお願いします!」
準決勝第1試合は王者・鹿児島実が遠野(岩手)を3-0で一蹴しました。遠野は鹿実の無失点記録をも破る事が出来ず初の国立に散りました。鹿実のエース・栫くんを累積警告で決勝の舞台に立たせなかったのが「一矢を報いた」形でしょうか。やはり主力3人を累積で欠いたダメージを隠せず、それ以前に鹿実に完全に「力負け」した感がありました。遠野のGK高橋くんはよく頑張ってたんですけど・・・「ペンギン」のユニに身を包んだ”東北の強豪”はまた来年以降に国立に戻ってくるはず。遠野高校の選手の皆さん、お疲れ様でした。
何気に試合を見てて気になったのはこの日の試合に多々良学園で後半に途中出場してきたDFの選手。なんだ、古畑任三郎さんはドラマ中にイチロー選手と勝負してて「高校時代は野球をやってて・・・」と言ってたと思ったら、きっちり高校サッカーで国立のピッチを踏んでたじゃないですか!だって、多々良のDF「田村正和」選手って・・・あっ、同姓同名でしたか。たぶんこの田村選手も20年に満たない人生の中でイヤと言うほど名前についてツッコまれたんでしょうね。ともかく2006年のお正月は「田村正和」がアツかったという事で・・・(謎)
また、今大会での野洲の活躍から、野洲のサッカーは「セクシーフットボール」とも形容されているようです。この日の多々良学園戦もさすがに終盤は引いて守って、ボールキープに走って最後まで「ドキドキ」させてくれましたね。この「セクシーフットボール」という言葉の生みの親でもあるルート・グーリットもこの野洲のサッカーを見たならば、EURO96のポルトガル代表を評したのと同じく・・・この野洲高校にも「セクシー・フットボールだ!」とコメントするかもしれません。こんなサッカーを目指す指導者やチームが居て、遠く日本に新たな「セクシー・フットボール」が産声を上げる、「リスクを冒しても攻める」って改めて・・・素敵な事じゃないです?
「3位決定戦」というものはトーナメントにおいて「不要派」ではあるんですが、今年の高校サッカーに関しては「遠野vs多々良学園」という3位決定戦も見てみたいなぁ・・・と思ったりもしました。でも山口県にとってこの「1月7日」はツイてない日になりましたね。なんでもJR下関駅が理由の分からぬ「放火」の被害にあったとかで。
[Numbers Web]杉山茂樹さんコラム「負けて尚、美しくあれ。」を読みました。決勝戦、勝敗に拘わらず野洲高校には頑張って欲しい!セルジオ越後さんはあまり野洲のサッカーがお好みでは無いようですが(笑)
最近では03年の筑陽学園(福岡)、01年岐阜工(岐阜)、そして00年の草津東(滋賀)が挑みながら決勝戦に散り・・・これらの高校はいずれも国見という国立を知り尽くした名門校に跳ね返されました。自分の知る限りでは第68回大会(1989年)、南宇和(愛媛)のあのセンセーショナルな初優勝から16年間の長きの間・・・達成する事の無い「初の国立→初優勝」への道のり。今大会は野洲高校がその壁に挑戦する事になります。今大会の野洲のサッカーをスタンドやTVで見た小中学生たちは少なからず「野洲高校でサッカーをしたい」衝動に駆られたのでは?とも予想します。今大会の活躍で山本監督が掲げる「高校サッカーを変える」という目標も将来の「野洲高校のプレイヤー」をさらに増やす事になろうこの時点でほぼ「完遂」しているのでは?とも思うのですが・・・どうでしょう?やはり「優勝」の2文字が最後の「ONE PIECE」で残りますよね。ともかく、1月9日は毎年ニュースを賑わす新成人のやんちゃ以上に、野洲には国立で「大暴れ」して欲しいです(爆)
・・・というワケで、王者相手に一歩も引かなかった野洲の”物語”は決勝戦・想像し得ぬ「ラスト・ダンス」へ。
高校サッカーを支える全国の指導者諸氏も・・・おそらく本音を言えば「野洲のようなサッカーをしたい」と口を揃えるのではないでしょうか。でも、名門校になればなるほど「理想と現実は違う」というのを痛感してスタイルを模索していく・・・指導者の方からすると野洲の山本監督は常に「理想論者」として映っていたのでしょう。「言う事は立派だけど、いまに現実を思い知らされるさ。」、しかし絵に描いたモチが”三次元の世界”で形となって現れたのだから・・・さぁ大変!理想と現実がシンクロする瞬間って、なんとも衝撃的なモノですね(爆)

「技術にフォーカスして自分たちのサッカースタイルを貫いた結果、いい形で点が取れました。内容と結果が両立できて満足です。多くの方に見て頂いて「おもしろい、こんなサッカーをしたい」というサッカーをしていきたいし、それが魅力ある選手を輩出することに繋がると思います。今日は鹿児島実のプレスに対しても、積極的な気持ちを忘れなかった選手の闘争心に感激しております!」

うわ〜!野洲高校、優勝旗まで獲っちゃいましたよ!1月9日の「成人の日決戦」決勝戦で王者・鹿児島実を延長戦の末2-1で下し、初優勝(滋賀県勢としても選手権初優勝)を決めました!この試合も最後までドキドキさせる展開で・・・でも正月からこういうフットボール・スタイルのチームがトーナメントの頂点に立つなんて、個人的には実に心強いです!2006年はオランダ代表にとっても・・・かなり縁起がいいかも?とか!?(笑)

野洲のサッカーを「スペインのサッカーのようだ」と形容する方も居れば、「ロナウジーニョの集まり」と著す方も居たり・・・このサッカーにラテンの香りを感じた方も少なくないでしょう。しかし自分は違います。自分はむろんオランダ・・・”攻撃的”なスタイルに最初はそう思いました。でも野洲のゲームを見ていくうちに・・・オランダとはまた別なフットボールのリズムを野洲のサッカーに見たワケです。誤解を恐れずに言えば・・・野洲のサッカーは「アフリカン・スタイル」ではないか?と。彼らの個人技は欧州・南米のそれと言うよりも・・・アフリカ人選手のテクニックに近いものを感じました。1vs1の局面で相手を抜きにかかるときのワンツー、股抜きドリブルなどを試みる間合い、リズム、スピード・・・それは「相手を抜くにしても、相手を上回るテクニックで抜く」、「美しく抜かなければならない」といったオコチャ(ナイジェリア代表MF)やディウフ(セネガル代表FW)、ババンギダ(元ナイジェリア代表FW)らにも根付いたアフリカ特有の「アフリカ的美学」そのもの!これを野洲の選手が魅せた個々のプレーに感じました。自分たちの技術に対する「絶対的な自信」も共通している様に思います。

野洲のようなプレイスタイルの中に、山本監督曰く”規格外”のクインシー(オランダU-20代表FW)やアフェレイ(オランダU-20代表MF)が入っても違和感は無いものと思うし、またジョン・オビ・ミケル(ナイジェリアU-20代表MF)やタイウォ(ナイジェリアU-20代表DF)が入ってもフィットするものと思われます。アフリカンなテイストがあるからこそ、今大会の野洲のプレースタイル(最も多いのは「かつての静学」だったりするんですが静学の”カナリア・スタイル”ともまた異質なモノでは?勝利に対する執着度、”十字架の重さ”・・・チームにかかるプレッシャーも違いましたし)に予想以上に鮮烈な印象を受けたのではないでしょうか。山本監督、そしてセゾンFC岩谷監督が思い描くサッカー像・・・それは「アフリカ」なのではないか!?ピンチの場面でもDFの最終ラインでパスを繋いでマイボールにする”危なっかしさ”もアフリカっぽいし・・・そこはハズレですか?(爆)

決勝戦でもスーパーサブで値千金ゴールを決めた瀧川くん、エースストライカー青木くん、主将の金本くん、野洲高校の選手のみなさん、そして山本監督(また驚きですが監督は日体大レスリング部出身の方だそうで「サッカー出身じゃないくせに・・・」と監督自身が周囲から揶揄されていた背景があって、あの奔放な野洲サッカーが生まれたのですね)優勝おめでとうございます!いまのアナタたちは、最高に「セクシー」です!(爆)
野洲高校、次の大会も出場!連覇に向けて・・・それは【#86】「伊武さん、ルート外れてます」の記事で。
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